中国の公衆トイレ(公用厠所)の仕組みと使い方


■公衆トイレ事情


中国の「公衆トイレ」にドアがないことは有名だが、ここでいう「公衆トイレ」とは町のいたるところに設置してあるトイレの事なので、あまりトイレばかりを恐れる必要はない。日本では、町の道端にトイレなどあまりないのだから、そういうトイレは、日本より余分に設置されていると思って、単なる旅行者はわざわざ使うまでもない。
中国でも若い人は、「公衆トイレは利用しない」という人が増えている。
ほとんどのレストランやデパートにはちゃんとドアがついているので、ホテルを出る前に1回、レストランで食事をしたら1回、デパートで買い物をしたら1回、と行っておけば問題はないのである。

日本国内でも、慣れない土地でトイレに行きたくなってから、トイレスポットを探すのはかなり至難の業難ことだから、似たようなものだ。
ただし、かなりちゃんとしたレストランでも「手紙(トイレットペーパー)」は期待できないので、ポケットティッシュを持ち歩く事は必須である。
最近はきれいなトイレは結構トイレットペーパー設置してあるけど、
持ち去られないためなのか、デカイ!
直径20〜30センチくらいあって、はずしてまで持っていかない様な大きさのが増えている。


短期旅行だったら、ウエットティッシュも持ち歩いたほうが良い。
レストランで、箸と一緒にポケットティッシュがサービスで出てきた所があったが、トイレ内部にはやはり設置されていなかった。「使う所におけばいいのに」とも思うが、設置すると、紙泥棒?する人間がいるのかもしれない。

私の場合、旅行中に入ったのはレストランやホテルなどばかりだったので、ドアがないトイレにはまだ遭遇したことがない。また、全部ちゃんと?水洗であった。ただし、紙は流れない。中国はまだ下水道事情が整備されていない所が多い。
水洗トイレで紙を流していいのはホテルくらいだ。他のトイレは、便器の脇にある大きな屑かごが「拭いた後の紙入れ」である。
トイレを詰まらせて大恥をかくのが嫌ならば、使用済みの紙は、絶対に屑かごに捨てるべきである。

ただししゃがんでも頭が出ちゃうトイレはレストランで多々遭遇したが、それは慣れれば気にすることはない。鍵が閉まらない(壊れている・なくなっている)トイレに入ってしまった場合には、顔が出ちゃうトイレのほうがちゃんと入っている事が一目瞭然で、外から急に開けられる事はなくて、むしろありがたい位である。

40代以上くらいの人だと、いい洋服を着た女性でも、かなりの割合で、ドアを開けたまま用を足している人がいる。(最近は減ったけど)また、頭を出しながら大きな声で隣に入った人と話をしている人もいる。
「昔のトイレは、全部ドアがなかったから、その習慣が抜けないのかも。」とZY女史。ドア付きの厠所が無かったので、今の「わざわざドアを締めなければいけないトイレ」の方が革命全盛期の世代の人たちにはけっこう面倒なのかも。

きっと、トイレに関する文化的な羞恥心の差だと思い、講師の先生と話しているうちに、排泄への羞恥心が日本と微妙にズレているような気がしてきた。

例えば、小学生が学校で「大きいほう」にいきたくなったら、普通にみんな行くし、もちろん、誰も人から白い目で見られたり、いじめられたりはしないというのだ。


■公衆トイレの仕組み(2004年3月調べ 体験者:講師X氏)


  1. まず、有料である。有料であるのは、「管理代(掃除)」と「紙代」というところであろう。男子トイレと女子トイレに分かれている入口の所に一人料金徴収係がいる。
    日本の銭湯の番台は女性と相場が決まっているが、中にいるわけではないので、係の人は男性の場合も女性の場合もあるようだ。

  2. 料金は、その「公厠」で男性の場合で、小で約2角、大の場合だと、ロールのトイレットペーパーをちぎってくれるらしく、約5角。多分、女性の場合は一律5角だと思う。紙の長さは決して余裕のある長さではない。(多分その徴収係なりの規定?の長さ(目分量)があるらしい。)

  3. 計画的に公衆トイレに行こうともくろんでいる人や、中国で長期滞在する人は、あらかじめポケットティッシュを用意して公厠に入ろう。まあ、どこに行くにもポケットティッシュとウエットティッシュは必須なのだが。
    もし、紙が足りなくなったら「wei!」とか呼んだら持ってきてくれるのかな?」と聞くと、
    来てくれるわけないじゃん。係りは一人しかいないから来てくれないよ。」とのこと。
    ・・・結構計算して拭かなくてはいけないらしい・・・
    もし、ポケットティッシュを持っていなかったら、用事の前に交渉して追加のお金を払ってでも、紙を確保してから入ろう

  4. ちなみに、あまりにも汚いトイレで「これじゃ入れない」と返金を要求すると、あっさり返金してくれたとの事。



■講師たちに公衆トイレについて聞いてみた


□質問1:なぜ、トイレにドアがないの?

講師X氏:同性同士なら、見えても別に恥ずかしくはないでしょ。

□質問2:ドアが公衆トイレしかない所で、
      どうしても大きいほうにいきたくなったら入る?


講師YX氏 :入るに決まってるじゃん。
講師ZY女史:どうしてもそこしか見つからなくて、我慢できなかったら仕方ないから入る。
講師YY女史:絶対入らない!!!

どうやら、世代や場所によっても違うようだが、小学校がドア無しトイレだった人達は あまり抵抗がないようだ。
多分、90年代に入って資本主義的な文化が入り始め生活スタイルが大きく変わったので、80年代生まれ頃を境に、生活習慣などの差があるように思う。

■駅のトイレ事情                              NEW2008年8月


北京オリンピックの頃に中国に行ったとき、長距離列車に乗ったので、駅のトイレをのぞいてみた。多分旧日本軍が作った駅なのか、大きい駅だがずいぶん古い駅である。

「・・・ドアがない!」ってか、溝?
細長い溝みたいなのがあって、ちょとちょろと一方向に水が流れている。
一応、一人ずつの仕切りはあったが、ドアはなく、用を足している人同士は見えないが、並んでる人には丸見えじゃん!
しかも、もし川下(溝下?)で用を足していたら、他の人がしたのが流れてくる仕組みである。

まぁ、そのトイレを見学したときは、誰も入ってなかったんだけど…。普段みんな使っているのかな?あんま使われてない様な。
でも、そういうトイレもまだあるってことで。

日本軍が作った駅なら、戦時中の日本の公衆トイレもこんな感じだったのか!?

■長距離列車のトイレ事情                         NEW2008年8月


長距離列車に乗ったので、やはりトイレに入ってみたのだが、日本の昭和50年代頃の特急列車のトイレに近いものがあった。(それより前は知らないので。)

水洗ではなく、ボットンというか(まき散らし?)なのだが、掃除用に低い位置に水道の蛇口があって、万が一上手くボットンできずに周りに○○○やらいろいろ残ってしまったら、蛇口をひねれば少しは自分で清掃可能って感じ。(蛇口が微妙な高さなので靴を濡らさないように注意してね。)

最初入った時は、1か所にはごくごく気持ばかりのトイレットペーパーが設置されていたのだが、次に入ったときは、2か所とも無くなっていて、おまけにポケットティッシュを売り子さんが売りにきた。
こう、トイレットペーパーがどこも設置されていないと、やはり設置してあるところから持っていっちゃうよね普通に。だんだん気持がわかってきたかも。

トイレ話からは外れるが、売り子さんは、お菓子とかは売りに来なくて、ポケットティッシュの他には、到着の駅のガイドや、到着先のホテル予約などを受けているようだった。

また話はそれるのだが、面白かったのは到着間近になると、係の人が大きいゴミ袋を持って席を回り、客にカーテンを元に戻すように指示を出し、客は自分が出したゴミを係りの人が持っている袋に自発的に入れる。なんか到着前に掃除もほぼ終えちゃうっぽかった。
日本人も列車を降りる時に、ゴミ箱にほとんどの人が自発的に捨てに行くからセルフと言えばセルフなんだけど、セルフの方法が日本とは違っておもしろい。


■おまけ−中国の銭湯−

中国にも公衆浴場があるらしい。しかし、公衆浴場においては逆に、日本のようなおおらかさはない。日本では、10歳くらいまではおじいちゃんが男風呂に孫娘をつれて入ったり、お母さんが男の子を女風呂に連れて入るのはまれではないが、中国ではせいぜい2〜3歳位までのようだ。
父親が娘とお風呂に入るなども、せいぜい幼児までで、小学校くらいだと「ありえない」らしい。

15年〜20年くらい前までは、昔の日本と同じで、各家庭にお風呂が無く、公衆浴場や、会社の福利厚生浴室などの施設を利用する場合が多かったらしい。
母親が忙しくて娘を銭湯に連れて行けない場合も、幼稚園児くらいの娘であっても父親が銭湯に連れて入るケースは少ないという。そういう場合は、会社の福利厚生浴室まで連れて行き、会社の顔見知りのご婦人に「娘が入るので洗ってやってください。」とお願いして入れてもらうこともあったという。

中国では、湯船につかる習慣があまりないので、現在も、浴槽付きのお風呂が各家庭に付いているわけではなく、シャワー室のみという家庭も結構多い。

もし、中国の人に「日本では、成人まで父親と一緒にお風呂に入る娘もたまにいる。」という話をしたら、その家族は「変態家族」だと思われる事だろう。間違いなく「ここが変だよ日本人」のトップ10にランクインするに違いない。


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